●秘密結社 ひみつけっしゃ
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一般に秘密の入社式を伴う会員制の組織や団体をいう。秘密結社は入社式を重んじる秘儀的秘密結社,政治的目的を有して地下活動を行うような政治的秘密結社および犯罪を目的とする反社会的秘密結社に三分することができる。入社的秘密結社は,結社への加入に際して入社式を施し,会員が組織内部の位階に応じた秘儀を通過していくこと自体に結社の存在理由をみいだしている。この種の結社のなかには,そうした儀礼のみを秘密にし,結社の存在・集会場所・教儀・会員氏名などは隠そうとしないものもある。世界的に有名なものとしては,まずフリーメーソンの名があげられる。現在のフリーメーソン組織は,1717年にイギリスで組織されたものであり,人類の完全な発展が可能であるような,合理的な原理に合致した社会を建設する技術を,33階位の秘儀を一つ一つ通過させることによって学ばせ,人間存在を変えていこうとしている。西欧世界に現存する入社的秘密結社の多くは,このフリーメーソンの儀礼をモデルにしている。中国の入社的秘密結社は,天地会の流れで 哥老会を含むホンパン※注1※にしても,羅教のチンパン※注2※にしても,西欧の秘密結社にみられる相互扶助的機能と相通ずるものをもっている。ただ,中国の秘密結社の多くは,白蓮教徒や義和団事件の長髪族などのようにしだいに政治的行動に走ったものが多い。入社的秘密結社の起源をたどっていくと,西欧的秘密結社の場合,古代エジプトやギリシアの宗教や世界観が与えた影響がきわめて大きいことがわかる。古代エジプトで,神人オシリスとその妹で妻であるイシスの2神を中心として,聖堂で行われた「死と復活」に関する儀礼は有名だが,これはのちのグノーシス派の教義やキリスト教の聖母崇拝にも影響したといわれている。未開社会の入社的秘密結社には[1]秘密結社がその部族の社会組織の重要な一環を占め,その部族の男は一定の年齢になるとすべてイニシエーションを受け秘密結社員になるものと,[2]妖術者や呪医・舞踊者たちが,職能的・専門的ないしは階級的な閉鎖集団をつくる場合とがある。リベリアのクベル族におけるポロ結社,ニューブリテン島のドゥク=ドゥク結社などは前者の,ナイジェリアのベニン族の王宮結社や「肩書のある首長」の会であるイボ族のオゾ結社などは後者の例である。
政治的秘密結社は,一般にときの政治権力に対するレジスタンスを目的とした場合が多いので,政治権力による迫害や弾圧を避けるためにその存在をかくし,結社の活動や結社員名を表に出すことを極力避けている。18世紀にバヴァリア地方を中心に勢力をふるった「バヴァリア幻想教団」,アメリカ革命当時の「自由の息子たち」,帝政ロシアにおける「救済同盟」や「デカブリスト」,アイルランドのカトリック教徒から生まれた「フィニアン」,第二次世界大戦後のものとしては,ケニアのキクユ族による英国の植民地からの独立運動としての「マウマウ団」,ハースト家令嬢誘拐事件でアメリカを震撼させた「共生主義者解放軍」や黒人による「ブラック=パンサー」なども政治的秘密結社の部類に入るだろう。また宗教の世界での体制への抵抗ということでは,キリスト教時代以前の古代ローマのキリスト教徒や,中世ヨーロッパの数多くのキリスト教異端グループ,日本の「かくれキリシタン」や「かくし念仏」集団,中国のマニ教的秘密結社などがあげられる。
犯罪的秘密結社の代表例としてはアメリカの「クー=クラックス=クラン(K. K. K)」やイタリアの「マフィア」などがあるが,いずれも組織結成当時は政治的秘密結社であった。「K. K. K」は,南北戦争後における南部の北部に対する不満を代表するものであったし,「マフィア」の前身も故郷シシリー島における外来者へのレジスタンス運動が出発点であった。秘密は人間性と深いかかわりをもつが,秘密結社は,そうした人間がつくる社会の本質に根ざした一つの機能集団だといえる。
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