●火鉢 ひばち
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灰のなかに炭火を入れて使う暖房具の一つ。おもに手足をあぶるときに用いられ,室内を暖める効果は低い。古くは火桶・炭櫃(すびつ)・火櫃(ひびつ)といい,平安時代の使用期間は10月〜3月までで,4月にはかたづけた。『信貴山縁起』などの絵巻物によると,火桶はヒノキ・スギの曲物に土製の火容(ひいれ)を置いたもので,のちにキリ・ケヤキなどのくりものに銅製のおとしを使ったものが用いられた。また木地のまま使用していたが,漆を塗ったり,色彩を施した絵火桶も現れた。火櫃は火桶の円筒形に対し方形のものを意味したが,のちに混同されるようになった。これら火鉢の類が庶民生活に入るようになったのは,鎌倉時代末ごろからで,金属精練用であった木炭を採暖燃料として利用したことが大きな役割を果たしている。近世になると都市生活者が増え,家庭燃料をたきぎだけに依存することが困難となり,木炭利用とともに火鉢が広く庶民に使われはじめ,長火鉢のように小物を収納する機能をもつものなども生まれた。とりわけ,陶磁器製火鉢の普及によって囲炉裏使用地域の東北日本まで火鉢が利用されるようになった。