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●備中鍬 びっちゅうぐわ

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 金鍬の一種で,形状の差により備中鍬・熊手鍬・三能などと呼ばれる。この鍬は,江戸時代以前から西南日本で使用されていたが,近世に入り急速に普及した。金鍬で,刃先が分かれており,田畑の荒起しや開墾用の基本農具となった。一般に耕作具として犂と鍬とがあるが,犂は近畿や北陸で使用され,かつ牛馬の使用をともなうため,牛馬をもてぬ小農にとれば,鍬が耕作具の中心であった。しかし,備中鍬の使用以前,鍬の中心は,刃先を据える木の風呂とよばれる床のある形式をもつ平鍬(風呂鍬)であった。この鍬は,すべて鉄製であるため,田畑の荒起しや開墾に必ずしも向かず,かつ深耕もできなかった。備中鍬の使用により,開墾が可能となり,小農の開墾が進むとともに,深耕ができることによって農業生産力もましていった。なお,旧来の平鍬(風呂鍬)は,畑の畝立や土よせ用になっていった。