●非行集団 ひこうしゅうだん
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老人非行という語があるように,非行は社会に一般的に承認されている規範や道徳に違反する行為を意味するから年齢層に関係ないが,ふつうは青少年,とくに少年非行と同義に用いられる。とくに非行集団という場合には青少年のそれをさす。また非行の範囲についても広義には一切の問題行動・逸脱行動,したがって非社会的行動も含むが,ふつうは反社会的行為,なかでも犯罪ないし犯罪に結びやすい行為をさす。わが国の少年法では非行少年という概念を用い,それを犯罪少年(罪を犯した14歳以上20歳未満の者)・触法少年(14歳未満で刑罰法齢に触れる行為をした者)・ぐ犯少年(将来罪を犯すおそれのある20歳未満の者)の3種類に区別する。児童福祉法は不良行為として刑法犯以外に,浮浪・怠惰などを含めているが,これは少年法でいうぐ犯におおむね対応する。少年法でぐ犯の要件とされるのは,保護者の「正当」な監督に服しない性癖のあること,「正当」な理由なく家庭に寄りつかないこと,犯罪性のある人もしくは不道徳な人と交際し,またいかがわしい場所に出入りすること,自己または他人の徳性を害する性癖のあることなどである。最近,こうした非行がひろくみられるようになったが,その特徴としては,従来発生率が低く,世間的に問題がないとされていたふつうの家庭の子供のあいだにも非行がひろくみられるようになったこと,とくに中学生や小学生など非行が低年齢化し,また女子の非行が増加したこと,いわゆる遊び型非行が増え,万引やシンナー遊び・暴走行為・不純異性行為など必ずしも罪の意識を伴わない非行が増え,いじめなど陰湿化,校内暴力や家庭内暴力など粗暴化の傾向がみられること,暴走族・バイク盗・自転車盗・道路交通法違反など道路交通関係の非行が増えていることなどが指摘されているが,さらに集団化,すなわち集団で行う非行が増え,また非行少年が集団を組織したり,おとなの反社会的集団,たとえば暴力団に加入したりする傾向がある。そこで集団非行や非行集団が大きな問題となる。【非行集団の特徴】非行集団は主として学校内ないし地域内で非行を支持し犯す仲間からなり,職場を基盤とするものは少ない。その集団非行は年少の段階では万引や窃盗などが多く,年長になるにつれて恐喝・傷害・強盗・わいせつなどの粗暴化が目立ってくる。暴走族・番長グループ・愚連隊・ツッパリクループなど非行集団は,おとなのヤクザ集団などと同じく,独自の価値観や下位文化をもち,独特の服装・隠語などを使用するとともに,集団内部の規律・統制・おきてが強力であって,外部に対して閉鎖的であり内部での団結が強い。したがって,いったんこれに加入すると,そこからの離脱が困難である。また非行集団に加入すると,その独特な外見や行為による可視性の強さのゆえに,周囲から白眼視され敬遠されるため,ますます孤立して,その集団のみを頼るようになる。とくに非行少年ないし非行集団がおとなの反社会的集団に組み入れられる場合においてしかりであり,集団から切り離して非行少年個人だけを対象にしてもその治療は困難である。
【非行集団への加入原因】非行集団への加入の原因や動機は,家庭や学校などで疎外されている者を非行集団では一人前に扱ってくれるため回復される自尊心や所属感,一人ではできない行為も集団の一員としてなら可能であるという安心感や自我主張,社会の注目を集めたいという自己顕示欲,自分を白眼視したり軽蔑したりしてきた周囲の者に対する復仇心,平凡で単調な日常性や窮屈な束縛から脱したいという解放欲求など,各種のものがある。したがって非行や非行集団の研究も犯罪学・心理学・精神医学・社会学・教育学など多くの学問によって行われるし,その対策も警察・学校・少年鑑別所・児童相談所・少年刑務所など,制度的機関だけではなく,家庭・地域,さらにはマスコミや一般社会全体によって取り組まれなくてはならないと考えられている。
〔参考文献〕法務省『犯罪白書』
総理府『青少年白書』
青島文夫編『非行の世界』1982,福村出版