●万宝山事件 ばんぽうざんじけん
アジア 中華人民共和国 AD1931 中華民国
1931年(民国20)6月長春の北約30kmの万宝山付近で発生した朝鮮人と中国人の衝突で満州事変の導火線となった事件。180余人の朝鮮人農民が万宝山付近の荒地に入植し用水路の開鑿(かいさく)を始めたが,工事をめぐって中国人農民とのあいだにトラブルが生じ,現地の中国官憲は工事の停止を命じた。日本の長春領事館は警官隊を派遣して朝鮮人を保護し,7月初め工事阻止をはかる中国人農民300余人に対して日本警官50余人が発砲する事件に発展した。事件は「朝鮮日報」の誤報もあって誇張して伝えられ,7月3〜7日,仁川・京城・釜山・元山・平壌・新義州で朝鮮人による対中国人報復事件が連続して発生し,在朝華僑の家は軒なみ略奪・破壊を受け,中国人の死者109人,負傷者163人という惨劇を生んだ。事態の責任は朝鮮人を煽動した日本にありと中国は批判して外交交渉は困難をきわめ,同時に発生した中村大尉事件と相まって幣原外交を攻撃する声が高まり,関東軍に跳梁の機会を与えた。