50音順    検 索

●ハンス=マグヌス=エンツェンスベルガー

ヨーロッパ ドイツ連邦共和国 AD1929 ワイマール共和国

 1929〜 ドイツの詩人・時事評論家。西ドイツの新左翼の同人誌「時刻表」の編集者。「怒れる若者」として文壇に登場。1963年ビューヒナー賞受賞。詩人は体制とは絶対相容れぬ存在である,というラディカルな信条にもとづいて,創作と時事評論の面で精力的な活動を行っている。詩人としては,ハイネ・ブレヒトの衣鉢を継ぐ人といえるが,その詩には,シュールレアリズムの手法やサンボリズムのイメージが取り入れられているために,どこかモダンな洗練味がある。時事評論家としては,西ドイツ社会の管理機構を暴き,告発し,作家が革新勢力と連帯し,ドイツの政治的啓蒙に積極的に参加する必要性を力説している。また,マルクス主義は詩的情勢の対象となるべきであると確信するエンツェンスベルガーは,発展途上国の解放運動のなかにマルクス主義の活性化と再生を見出している。彼はそのほか,記録演劇やルポルタージュ的な評論や小説を通じて,権力の非人間性に鋭いメスを入れている。しかしながら,エンツェンスベルガーの身上である,一面においてはロマン主義的とさえいえる,その詩的ラディカリズムには,懐疑と失望のシニシズムがどこか影を落としているところがある。主要な作品は詩集では『狼たちの弁護』(1957)・『国のことば』(1960),エッセイでは『細目』(1962)・『政治と犯罪』(1964)・『何よりだめなドイツ』(1967),記録演劇では『ハバナの審問』(1970),長篇小説では『スペインの短い夏』(1972),叙事詩では『タイタニック号の沈没』(1978)がある。