●ハーン
ヨーロッパ ドイツ連邦共和国 AD1856 ドイツ連邦
1856〜1928 ドイツの地理・経済史学者。狩猟採集・遊牧・農耕の順に人類の経済史的発展を推測した“3段論”を民族学の実証的資料の分析に立って,論破した。ハーンは狩猟採集における男女の分業に着眼して,穀物と根茎植物の性質を知り,栽培の可能性をとらえた女性を農耕の発明者とみなした。女が担当するこの農耕の主要道具は耨(くわ)なので,これを“耨耕(どうこう)”と名づけた。次に家畜の飼育と犂(すき)農耕が男の指揮でしだいに登場した。この両者の起源が宗教思考にあり,とくに犂耕(りこう)の主要物である車と犂とそれを引く去勢雄牛は聖視されていた。バビロニアで生じた犂耕は伝導師の手で伝播した。遊牧民は犂耕文化から分岐し犂と去勢雄牛の使用を放棄して,もっぱら家畜飼育に移り,最初の国家を築いた。耨耕と犂耕の区別は現在もまだ有効である。