●ハルトマン=フォン=アウエ
ヨーロッパ ドイツ連邦共和国 AD1160 ホーエンシュタウフェン朝
1160/65〜1210/20 シュヴァーベン出身の中世ドイツの代表的詩人の一人。節度を守る中庸の徳を説き,騎士社会の規範と形式を韻律の整った洗練されたことばで示した。肉体と心の間の論争詩『小簡』で愛(Minne)の倫理的教化の力を強調する彼は,若くしてすでに宮廷道徳の教師であった。北仏の詩人クレチアンのアーサー王伝説に題材をとった作品を翻案,改作した『エーレク』(Erec)はドイツ最初の円卓騎士物語で,騎士道と愛の調和を追求しドイツ宮廷叙事詩の手本となった。恋愛詩もいくつかつくったが,貴婦人への空しい愛に幻滅しまた主君の死に人生の無常を感じたハルトマンは,神による魂の救済を求めフランスの『教皇グレゴアール伝』に拠り,『グレゴーリウス』を書く。次作の『哀れなハインリヒ』は騎士と農夫の娘との身分違いの結婚に終わる,当時としては他に類を見ない物語である。最後の作で再びクレチアンのアーサー物語に戻り,『イーヴェイン』で騎士道のあり方を『エーレク』とは逆の面から問いかけ完全な騎士の理想像を示した。