●パピルス文書 パピルスもんじょ
AD
エジプトのナイル河畔にかつて原生していたパピルスの幹は大人の手首ほどの太さがあり,それを薄くはいで縦横に重ねて接着してつくった紙に書かれた文書。エジプトでは前25世紀から後10世紀まで3,500年以上用いられた。地中海世界各地で使用され,その製造はプトレマイオス朝やローマ帝国の専売だった。エジプト語文書で有名なのは医学や数学・宗教関係の『死者の書』などだが,最も重要なのは東ローマ帝国時代までの1,000年間に書かれたギリシア語の文献で,今日までに2万3,000巻が出版され,そのなかにはこれまで散逸していたギリシア文学作品やアリストテレスの『アテナイ人の国政』,キリスト教文献の『イエスの言葉』『マリアの福音』『パウロ伝』など多くの収獲が含まれている。他にもおびただしい数の各種法令・裁判文書・契約書などがある。19世紀に発見されて以来,古典学に新たな研究分野パピルス学がおこり,とくにヘレニズム時代の解明に貢献している。