●母方居住制 ははがたきょじゅうせい
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父系制社会における父方居住制の対概念で,結婚のあと夫婦の婚舎が妻方の共同体に設けられるもので,妻方居住制ともいう。それは母系制社会に認められ,そこでは母方の血筋による母系出自と,財産などが母から子へ継承される母系相続が行われる。そうした婚姻形態は定住生活による農耕,ことに穀物栽培が女性の労働力に負うことから,その労働力と土地所有権を妻方の共同体で確保しようとしたことに基因するという。しかし財産の所有権は女性にありながら,運営権は母の兄弟が管理する場合が多い。また妻方の共同体に婚入してきた男性は,その共同体で正規の成員とは認められず,何らの権限もなく労役の提供者とみなされ,多くは死の直前に夫方の氏族に引き取られて埋葬される。ところで母方居住制から父方居住制に移行する過程で,妻方と夫方との二重居住制や,夫が妻方に住みついて一定期間働く労役婚が行われるところもある。