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●発達課題 はったつかだい

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 人生の各時期において,とくにその時期に適切なものを学び,達成しておかなければならない課題のことをいう。それぞれの発達段階にはそれぞれ特別な達成しなければならない課題があって,それを首尾よく達成するということは,その時期を健康で幸福に過ごすことになり,次の発達段階の課題を解決する基礎を適切に用意することになる。もし,ある時期の課題がうまく達成できないとすると,それに続く時期の課題の習得や達成が困難になり,その時期は充実した幸せなものになりにくい。ハーヴィガースト(Havighurst, R.J.)は〈発達課題は,個人の生活のある時期に起きる課題で,その成功的達成はその個人を幸福に導き,後の課題の成功に導くものであり,その課題達成の失敗は個人の不幸と社会による不承認に導き,後の課題の困難をもたらすものである。〉と述べている。発達課題の起源としては,個人の心身の発達(歩行や言語の発達),社会文化的要求(文字の学習や性役割の習得),個人的価値観や欲求(自分の価値観や人生観の確立,職業選択や準備)などがある。発達課題の性格は一様ではなく,普遍的なものもあれば特定の文化や社会によって異なるものもある。歩行の学習はすべての文化に共通でどの人種でもだいたい同じ時期におこるが,職業選択や結婚などは文化によって大いに異なる。また歩行のように人生のある時期にただ一度学習することが必要なものもあれば,性役割のように年齢によって違った側面の学習が必要なものもある。人生の各時期における発達課題として,田中賢は内外の諸研究をまとめて次のような試案を作成した。

【乳幼児期】直立歩行,基本的生活習慣,簡単な言語,数量,社会や事物についての学習,他者との社会的交渉と情緒的結びつき,遊びの学習と善悪の区別,性に対する慎みの学習。

【児童期】身体的技能,生活習慣,読・書・算の基礎的技能の学習,生活に必要な知識・理解の学習,友人関係および男子・女子としての社会的役割の学習,感情の深化と統制の学習,人格の独立・自立の発達と道徳性の発達。

【青年期】自己身体の受容とそれの効果的使用,自我の発見と自己指導の強化および親からの自立の達成,社会人としての知識・理解・技能・態度の学習,職業の選択と準備,同年齢の両性仲間との成熟した関係,適切な社会的性役割の学習,結婚と家庭生活への準備,余暇の利用と価値観や倫理体系の学習。

【壮年前期】就職し経済的独立を果たし市民的責任を果たすこと。結婚し結婚生活に適応し,子どもを産み育て家庭を管理すること。近隣・親類と適切に交際すること。

【壮年後期】中年の生理的変化を受容しそれに適応すること,社会変化に必要な適応をすること,職業に精通し好ましい社会経済的地位を築くこと,望ましい家風の確立と維持,配偶者との人間的結びつき,年老いた親に対する責任を果たすこと,余暇を充実し市民的・社会的責任を果たすこと。

老年期】減退する体力と健康への適応,社会変化に対する適応,退職と収入減への適応,同年輩の仲間との親和的関係,可能な限度での社会的奉仕,配遇者の死に適応すること。エリクソンによれば,健全なパーソナリティが形成されるためには,人生の各段階における課題が順次成功裏に達成されなければならないと言う。すなわち,人間は人生のそれぞれの段階でいろいろな内面的欲求(リビドーといってもよい)をもちながら,その時期に社会から要請される課題との葛藤を処理して次の段階へと進む。この葛藤処理が心理・社会的危機と呼ばれ,この危機を克服する過程で自我同一性が形成され,パーソナリティの統合的な発達がなされる。彼は乳児期から老年期まで八つの発達段階を設定して,それぞれの段階での発達課題を漸成的図表にまとめた。