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●八文字屋本 はちもんじやぼん

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 京都の本屋,八文字屋八左衛門(安藤氏)の2代目八左衛門(?〜1745)が,江島其磧(1666〜1735,一説に1667〜1736)の作品を中心として100余点の浮世草子を刊行し,文学史上一時代をつくった。こうした八文字屋刊行の浮世草子と,その同種の作品を八文字屋本という。2代目八左衛門は自笑と号し,京都麩屋町通誓願寺下ルに店を構えていた。当初絵入り狂言本を刊行,1701年(元禄14),其磧作の『けいせい色三味線』を刊行して大当たりをとった。以後,自笑は出版界や読者の動向をよくつかみ,其磧の才能を引き出し,多くの浮世草子を刊行して大成功をおさめた。作者其磧は,京都の名家大仏餅屋村瀬家の当主で,平易な文章と通俗的な人情味,巧みな筋書きの小説を書いた。『世間子息気質(せけんむすこかたぎ)』や『世間娘気質』はその代表作である。八文字屋は明和年間(1764〜72)には衰え,蓄積された膨大な八文字屋本の版木は,大坂の升屋大蔵・同彦太郎に売り渡された。