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●長谷寺 はせでら

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 『源氏物語』『枕草子』『更級日記』から『今昔物語』にいたる平安時代文学に初瀬詣として描かれ敬慕された観音信仰の名刹。奈良県桜井市にあり,登り口の初瀬町もまた門前町の典型的景観をなす。真言宗豊山派総本山。西国三十三観音の八番礼所として庶民的人気も高い。天武天皇のとき創建された泊滝寺(本長谷寺)に始まり,聖武天皇の神亀年中にほぼ今日の長谷寺信仰が成立。平安時代には,末法の到来からの回避と現世利益を求める風潮にのり,貴顕衆庶の参詣が目立った。本尊十一面観音は高さ8.1mの立像。天文年中の制作になる木彫で鎌倉長谷観音とのかかわりが民俗的に説かれる。政治的にも法縁的にも興福寺に属しながら,独立勢力としてもめざましかった。史上10度におよぶ火災に遭ったが,喜捨寄進の利益が信ぜられつねに迅速に再建され続け,たくましい歴史をもつ。1,004段の石段,3折の登廊,八方灯籠,牡丹の観賞など民俗的風光にも特色がある。