●パスパ文字 パスパもじ
アジア アジア AD
チベットの僧パスパが作成した文字で,蒙古新字あるいは蒙古国字とも呼ばれる。チベット文字をもとにしてはいるが,左縦書きにしたり,字画を方形に現すなど独特の創意を加えている。また蒙古語を書写すため,チベット語にはない特別の母音符号や,若干の子音が加えられていることも注目すべきである。世祖の命によってつくったものであり,1269年(至元6),公布され,公文書などにはすべてこれを用いることが規定された。しかし,この文字は簡単に書くことができないことなどの不便さがあり,一般にはウイグル文字が使用されていて,民間にはほとんど普及しなかった。公式用の目的で作られたもので現在残っている用例も,官印,碑刻文,貨幣など,公的なものがほとんどである。元朝の滅亡とともに,蒙古では使用されなくなったが,チベットにおいては現在でもモンゴル文字として生命を保っており,印章や装飾文字などに使用されている。