●箸立伝説 はしたてでんせつ
アジア 日本 AD
高僧・貴人が食事に使った箸を大地にさしたところ,根づいて大木になったという伝説。多くは杉の箸が使用されたため,箸杉・箸立杉と呼ばれている。ほかに松,柳,葦,檜の例もある。埼玉県飯能市南の,子の権現の登り口に箸杉というのがある。子の聖が,初めて子の山に登ったとき,食事に用いた杉箸を地にさしたところ根づいて大きくなったものという。山梨県東山梨郡勝沼町等々力の万福寺の境内には,親鸞上人の御箸杉という大木があった。昔,親鸞上人が出立の膳の箸を,庭にさして去ったところ,箸が根づいて大木となったという。また山梨県西八代郡市川大門町四尾連湖畔の,子安神社の境内の2本の神代檜は,源頼朝が富士の巻狩のとき,昼食に,箸の代わりに使用した檜の枝をさしておいたのが成長したものだという。こうした食事に用いた箸を,捨てないで地面にさすということは,神を迎える依り代として,木をたてるという古い習俗につながると考えられる。