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●恥 はじ

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 自分の欠陥,弱点,失敗から生じる困惑した感情。誇らしさの対概念である。心理学的には,対人関係のなかで無意味ともみえる恥らいと,自己の欠点に由来する恥とが区別される。前者はとくに青年期に目立つが,精神分析学では,超自我に違背し社会の軽蔑をかうような露出症傾向への防御感情とされる。後者は自己の弱点への防御感情であるが,それが他人にむかう場合には,自己の面目・体面を重んじ,外聞にこだわる他律的態度が一般的である。自己自身に向かう恥の感情は,多くの場合,倫理的理想,当為を前提とし,良心と重複する部分が多い。わが国では鎌倉期以後,〈名を惜しみ恥を重んずこと〉が,とくに武士を中心とする倫理意識の基本とされてきた。ここでの恥が,本人の恥から家族・共同体のそれへと拡張されていたことは特徴的である。ルース=ベネディクトが日本と欧米を対比して,前者を恥の文化,後者を罪の文化と性格づけ,欧米の道徳秩序の根底に良心・神への罪の意識があるとした根拠でもある。