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●博物館 はくぶつかん

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 明治初年,文部省博物局掛の田中芳男が museum の訳語として使用したのが初めてといわれる。1872年(明治5),湯島の大成殿を日本最初の博物館とし,1883年(明治16),上野に移転,動物園などがそれに付属している。しかし日本で博物館の語をつくったのは福沢諭吉で1866年(慶応2)刊の『西洋事情』に〈博物館は世界中の物産・古物・珍物を集めて人に示し,見聞を博くする為め設くるものなり〉とある。もとはといえばギリシア語のムセイオンからきており,「ムーサイ(ミューズ,芸術と科学を司る女神の殿堂)」の意味をもつといわれる。とくにその公開は,フランス革命(1789)ののちルーブル宮殿が美術館となったことが,世界各国の博物館設置運動をおしすすめた。その結果,今日では博物館を「歴史・芸術・民俗・産業・科学などに関する資料を収集・整理・保管し,組織的に展示し,公共に利用させる施設と機能を有するもの」と規定できる。

【博物館の目的と機能】1951年(昭和26)に制定された博物館法によると,〈博物館とは,歴史・芸術・民族・産業・自然科学等に関する資料を収集し,保管(育成を含む)し,展示して教育的配慮のもとに一般公衆の利用に供し,その教養・調査研究し,レクリエーション等に資するために必要な事業を行い,あわせてこれらの資料に関する調査研究をすることを目的とする機関〉と規定している。この目的を完遂するために博物館は施設・設備をもち,十分な資料と,必要な職員を確保しなければならない。それによって収集・展示すべき資料の採集,発掘,製作,購入,交換,保管,借入れ,出品などの手段によって収集・展示を心がけるべきである。博物館は実物や実物からの標本・模写・模造・図表・写真・録音テープ・記録・カタログなどの資料をもとに内容的には教育資料と研究資料に分けて,館長の下に組織された専門職員,事務職員,技術職員などを動員して博物館活動をおしすすめることとなる。専門職員のなかには学芸員を含めて活動に当たり,一般大衆と博物館を結びつける努力をしているものもいる。学芸員は博物館法の定める資格であり,博物館の知識・技術にすぐれ,教育活動面で有能であり,卒業認定と国家試験で認定を受けねばならないものとに分かれる。博物館は大衆へのサーヴィス機関であり,その利用効果を期するために常設展示の充実と啓蒙度の高い企画展示を併行する必要がある。その展示・鑑賞を助けるための解説,図解,年譜,ラヴェルづけがなされねばならない。また館内のサーヴィス条件づけられる。ガイドのためにインフォーメーション=デスクをつくり,パンフレットを準備し,定期的に列品確認会を開く,自動聴取器で説明したり,マイクによる場内案内放送,さらに講演会,実習会,クラブ活動(友の会など),資料設備の開放につとめることを必要とする。

【博物館の種類】[1]歴史博物館と美術館,[2]自然史博物館と科学技術博物館とがある。両方を合わせた総合博物館が国によっては存在するが[1]と[2]のいずれかの場合が多い。国立・公立・私立のものがある。国や市,県などによるものも日本では少なくない。博物館には大衆本位の公共博物館,学生本位の学術博物館,児童本位の児童博物館があり,展示場の中には野外博物館形式のもの,動物園植物園をはじめとする公園博物館,または歴史家屋博物館・野外美術館のようなものもある。博物館のなかには複合的目的をもつものも少なくない。映画ホールや音楽ホール・文化センター・県民会館などをもつものさえある。以上のような博物館のあり方は今後ともさまざまな要素を加えていく。これは博物館の歴史が示しており,とくに世界における博物館の建設の歴史を示す,慈善事業や博覧会とのかかわり,芸術保護などの文化財保護,自然保護運動とのかかわりなどを考えると,ますます多面化することは避け難い。また文明・文化との保存ともかかわりをもつ。

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