●ハインリヒ=ベル
ヨーロッパ ドイツ連邦共和国 AD1917 ドイツ帝国
1917〜 ドイツの小説家。1967年ビューヒナー賞,1972年ノーベル賞受賞,1971〜74年まで国際ペンクラブの会長をつとめた。1949年,第二次世界大戦の悲痛な現実を扱った小説『汽車は遅れなかった』で戦後の文壇に登場,以後,戦争の非人間性,戦後の廃墟,奇跡の経済復興のなかにぽっかり空いた精神的空洞,今やメカニックな機構に頽落したカトリック教会,これら西ドイツのアクチェアルな問題を,痛烈な諷刺と軽妙なユーモアに富む筆致で描いてきた。近年では,繁栄きわめている西ドイツで姿を変えて出現するファシズムの正体を暴露し,告発している。話題を呼んだ『カタリーナ=ブルームの失われた名誉』(1974)では,マスメディアの暴力が告発の対象となっている。ベルの文学活動・評論活動においては,社会の犠牲の羊となるよう強いられている,名もない個人の側に立って発言するという,人道主義が終始全体を貫いている。そのほか主要な作品としては『アダムよ,お前はどこにいたのだ』(1951),『九時半の撞球』(1959),『道化の見解』(1963),『淑女のいる群像』(1971)などの小説,評論『廃墟文学の信奉』(1952)などがあげられる。