●狼煙 のろし
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烽火とも書き,前代における通信手段の一つ。煙や火の手をあげることによって合図をした。その使用はすでに古代から確認されているが,目的はもっぱら軍事的なものであった。敵の急襲を告げたり,戦況を知らせたりしたのである。伝達内容は,炎や煙の色を違えることによって伝えられたが,これは薪に樹皮や火薬を混ぜて,目的の色を出すようにした。狼煙は,遠隔地へ迅速に知らせる通信手段として,最も優れたものであった。たとえば戦国時代,川中島の合戦の様子を知らせるのに,武田信玄は川中島から甲府へいたる山の峰づたいに狼煙台を設け,リレー式に煙をあげて,わずか2時間ほどで戦況を伝えたといわれている。しかし,あくまで合図にとどまり,複雑な内容を伝えることはできなかった。近世以降は民間での使用も確認され,伊豆諸島の御蔵島では,食料不足などの緊急事態がおきると狼煙をあげて三宅島に知らせ,救援の船を待ったのである。