●農本主義 のうほんしゅぎ
AD
農業・農民・農村を過度に重視し,しばしばそれを社会体制の基軸とすることをめざす思想ないし運動。明治期,とくに日露戦争以降,一部人士などによって先駆的に主張され,傍流的潮流が認められた。が,第一次世界大戦後ごろ以降独占資本主義が発達し,それにつれて都市の急激な発展がみられるなかで,それへの反発と反動の気運が湧きおこり,それが西欧に古くからある反近代志向と結びついて,本格的に浮上した。そうした場合アナキズムと連動して現れる場合もあった。ついで,1930〜31年(昭和5〜6)の農村危機を核とする大恐慌期に際し,国家主義(運動)・自治主義(運動)という形をとって,一つの大きな流れを形づくった。機械文明・資本主義経済・都市そのもの全般・中央集権制,ひいて西欧近代一般,などに反対することが,その特徴的な主張傾向である。代表的な人物としては,石川三四郎・加藤一夫・橘孝三郎・権藤成卿などがいる。〔参考文献〕加藤一夫『農本主義』1933暁書院
桜井武雄『日本農本主義』1935,復刻版1974,青史社