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●ノヴァーリス

ヨーロッパ ドイツ連邦共和国 AD1772 ハプスブルク朝

1772〜1801 ドイツ初期ロマン派の代表的詩人。本名はフリードリヒ=フォン=ハルデンベルク。大学ではおもに法律を学び、ライプツィヒ大学在学当時には、初期ロマン派の理論的指導者フリードリヒ=シュレーゲルと親交を結ぶ。卒業後フィヒテの自我哲学の研究に専念し強い影響を受ける。

 1794年、当時12歳の少女ゾフィー=フォン=キューンと出会い、翌春婚約を結ぶが、彼女は病気のため2年後に永眠。この恋人の死は彼によって深い形而上学的神秘として体験され、以後の彼の詩作に決定的な意味をもつ。『夜の讃歌』(1800)はこの愛の体験を基にして書かれた詩であるが、彼岸の世界で亡き恋人との再会を願う詩人は、永遠なる夜の国におもむこうとして清浄な“死への憧れ”を歌い、恋人の死を聖化している。その後フライベルク鉱山学校に入った彼は、地質学者ヴェルナー教授の指導を受け、自身の自然観に著しい進展をみせる。『ザイスの弟子たち』(1798)はそれの詩的結晶であり、自然の謎を解く鍵が人間の心と愛にあることを教示している。『青い花』の邦訳名で知られる彼の未完の主著『ハインリヒ=フォン=オフターディンゲン』(1799〜1800)は、彼が散文的とみなしていたゲーテの教養小説『ヴィルヘルム=マイスター』に対抗して書かれたものであって、時間と空間を超越した神話的世界がここに展開されており、全体は詩と愛の秘蹟の礼讃に終始している。ここにおいては、童話が、このような神秘的世界を描く最適の表現形式であって、“詩の規範”とみなされている。そしてこのドイツ=ロマン主義の典型といえる作品の根幹をなす思想は、人間の魂の内奥から発する強烈な想像力が世界のすべてを変容させ支配すると考える、彼の「魔術的観念論」である。ほかにおもな著作として、敬虔な宗教心を吐露した『聖歌』(1800)がある。さらには、内面の根源的世界への回帰を魂の究極のあり方とみなすロマン主義的な哲学的思索の跡を示す数多くの断章があり、この意味で、ノヴァーリスにとっては、「哲学」とは本来「郷愁」だったのである。

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