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●ノア

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『旧約聖書』の「創世記」6章1節〜9章17節に記述されている洪水物語の主人公。それによれば,人類の始祖アダムから数えて10代目,レメクの子ノアのとき,人の悪が地上にはびこり,人々がいつも悪いことばかり心に思いはかっているのをみて,地上に人を造ったことを後悔した神は,洪水を送って人を地とともに滅ぼそうと思った。しかしノアだけは神の前に正しい人であったので,神は彼に命じて,糸杉の木で巨大な箱舟をつくらせ,彼とその妻子たち,およびすべての生き物の雄と雌のひとつがいずつをそれに乗り込ませた。雨は40日40夜降り注ぎ,大水は150日のあいだ地上にみなぎり,そのあいだにノアと箱舟のなかの生き物を除いて,地上に群がる一切のものが死に絶えたが,やがて大水が引き始め山々の頂が姿を現すと箱舟はアララテ山にとどまり,生き残ったノアは神の祝福を受け,彼の3人の子,セム・ハム・ヤペテから全地の民が出て,人類の第2の始祖となった,という。こうした洪水物語は,古代オリエントをはじめ広く世界の各地に分布しており,この「ノアの箱舟」の物語も,その原型をジウスドゥラを主人公とするシュメールの洪水物語や,ギルガメシュ叙事詩のウトナピシュティムを主人公とするバビロニア洪水物語に求められているが,これらの物語では,洪水を神々の悪意ある結果として記述しているのに対して,聖書ではそれを人間の罪への告発として記している。ノアはまたブドウの栽培者・ブドウ酒の創始者としても伝えられている。なお,ノアの箱舟がとどまったアララテ山は,トルコとイランの国境に聳え,山中に船の遺構を残したアララット山かもしれないとする説がある。