●年齢集団 ねんれいしゅうだん
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【年齢集団の概念】本来は文化人類学上の術語で,一定年齢を構成要素とする集団,または1世代に属する構成員からなる集団をいう。年齢を数える習慣の希薄な未開社会においては,年齢集団は概して後者の形態をとる。1世代とは,少年・青年・老人などを意味するが,嫁のみからなる集団も含まれる。結婚年齢や主婦権譲渡の年齢がほぼ一定の社会では,嫁集団の年齢の下限や上限もほぼ一定しており,それゆえ1世代とみなせるからである。文化人類学・民俗学・社会学などではおもに未開社会や,文明国内の民俗社会における伝統的な年齢集団を研究対象とする。しかし,一定年齢を構成要素としているという点では,近代的な義務教育制度下の小中学校や各学級もまた年齢集団ということができる。【年齢集団の諸形態】日本の民俗社会における年齢集団を歳の若い順にあげると,子供組・若者組・娘組・中老組・嫁組・年寄組の各組となる。子供組は数え年(以下同様)7〜15歳ごろのおもに男児からなり,女児の参加はまれである。最年長者が指導をし,若者組の年少者が顧問となる。機能は小正月行事・天神講・七夕・十日夜・亥の子などのムラの年中行事にたずさわることで,子供組はそのつどムラのなかに数組ずつ形成される。若者組は年齢集団のうちで代表的なものの一つである。加入年齢は15か17歳ぐらいであるが,脱退時期によって青年型と青壮年型とに大別される。青年型は結婚または25歳ごろに脱退するもので,兄弟は全員加入するものが多く,さらに寝宿を中心に婚姻媒介を主要な機能とし,西日本に比較的広く分布した。一方青壮年型は33歳とか42歳までの既婚者を含み,1戸一人の参加型をとる傾向が強く,東日本に多かった。いずれにしても年長者である若者組の統轄のもとで,若年者の躾とか氏神祭りや災害時の救援活動に従事した点では両型とも共通していた。娘組は若者組に対応する存在であるが,西日本の沿海地方に分布し,東日本にはまれであった。年齢は13歳ぐらいから結婚までで娘宿との結びつきが強かった。若者組の統制下で婚姻媒介がおもな機能であったとみられる。中老という役名はまれには若者組内の顧問役として存在したが,一般には若者組を脱退した者たちの集団をいい,若者組の相談役や氏神祭りの指揮などに当たった。ただし,組織はきわめて不定型で恒常性にも乏しかった。嫁組は,一般的には嫁講とか子安講・二十三夜講などと講の形態をとるのがふつうである。定期的に会合し,安産や子育ての祈願ののち飲食が行われる。海女漁地帯の嫁組には,豊漁や安全祈願を主要な機能とするものもある。年寄組は家長権や主婦権を跡取りや嫁に譲った隠居からなる場合が多い。そして嫁組と同様,その大半は念仏講とか庚申講のごとき講集団の形態がとられる。脱退年限はなく,本人の死亡によって自然退会というかたちとなる。
【年齢集団と年齢階梯制】年齢階梯制の階梯とは階段の意味である。すなわち年齢階梯制とは,ある社会や集団の内部が一定年齢か,世代と世代とのあいだでいくつかの階段のように区切られ,構成員は歳をとるにつれその階段を上昇して行き,上位に昇るに従い特定の権威や権限を取得するような制度のことである。いいかえれば権威や権限の基準が家柄や身分ではなく年齢の高低におかれている制度なのである。こうした年齢階梯制は年齢集団と密接に関連し,年齢集団の内外に年齢階梯制がみられることが多い。とくに典型的なものは若者組で,その内部が4〜5の階梯をなすものもある。しかし,若者組と子供組以外の年齢集団には,年配序列の原理はあっても階梯制そのものの発達は薄弱であるが,一地域に子供組・若者組・娘組・中老組・嫁組・年寄組というように年齢集団が重層的に存在する場合には,その総体を年齢階梯制とみなすことが可能である。
〔参考文献〕関敬吾「年齢集団」『日本民俗学大系』3巻,1959,平凡社