●年代決定法 ねんだいけっていほう
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過去の史的事実や,現象がいつおこったかを決定する方法。年代の決定には,従来から多数の方法が試みられてきている。自然科学の進歩により,1950年代には,放射性炭素14(14C)を用いる年代測定法が開発された。この測定方法が年代決定に与えた影響は大きく,これを端緒として,自然科学的年代測定による研究がすすめられるようになった。地質学・古生物学・人類学・考古学などで取り扱う年代の決定法には,相対年代法および絶対年代法の2種類がある。相対年代法とは,史的事実や現象の年代を実年代をもって示さず,他の史実や現象と比較して「より古い」「より新しい」というように,相対的新旧関係で示す方法である。すなわち,時間的先後関係のみを示す方法である。絶対年代法とは,史的事実や現象を実年代をもって示す方法である。絶対年代法の適用は,科学の進歩によって1950年代以降に始まったものである。【相対年代法】[1]層位学的方法 「地層累重の法則(より新しい地層は古い地層の上に重なるという原則)」にもとづいて資料の時間的位置関係をとらえる方法。資料の層位関係や鍵層などを手掛かりとする。[2]型式学的方法 遺物の型式(類型)の変化の方向と順序から,時間的先後関係を把握する。例として「土器型式」が時期を示す指標としてあげられる。
【絶対年代法】[1]自然科学的方法−理化学的方法「炭素14年代測定法」;資料に残存する放射性炭素14Cの量と,その半減期から年代を推定する方法。「カリウム=アルゴン法」;鉱物中のポタジウム・カリウムとアルゴンの量比から年代を推定する方法。「熱ルミネッセンス法」;土器を熱したときの発光量から推定。発光量が多いほど古い証拠である。「フィッション=トラック法」;鉱物中の238U(ウラン238)が核分裂する際に残す傷の数を測定して年代を推定する方法。「黒曜石水和層法」;黒曜石の表面に形成された水和層(風化層)の厚さを計測して推定する方法。「年輪年代法」;出土木材の年輪幅の変化の具合を追うことにより,複数の木材のあいだの経歴の重複部分を探す。この作業を繰り返して日付の明らかになっている年輪までたどる方法。「フッ素法」;骨中のフッ素含有量の計測から推定する。古いものほどフッ素の含有量が多い。「ウラン法」;骨中のウラン含有量の計測から推定する。化石化ともに含有量は増加する。「マンガン法」;骨中のマンガン含有量の計測から推定する。化石化とともに含有量は増加する。窒素法;骨中の膠原線維に含まれているアミノ酸を構成する窒素の含有量を計測する。化石化とともに含有量は減少する。「ラセミ化年代測定法」;骨のラセミ化(骨中のアミノ酸の化学反応)の程度から推定する。「古地磁気法・熱残留磁気法」;土器や土中の磁鉄鉱・赤鉄鉱の並ぶ方向や,資料のもつ磁気の強さから年代を推定する。[2]自然科学的方法−地質学的方法「縞粘土法」;氷河が溶けたり凍ったりすることによって形成される縞粘土層の堆積具合から推察する。「河川堆積の粘土層」;川の氾濫により形成された粘土層の枚数から推定する。[3]その他「共伴遺物による年代決定」;鏡の銘や貨幣などの実年代の明らかな共伴遺物にもとづいて年代を推定する。「文献による年代決定」;文献に記載された実年代に依拠する。日本の場合,遡れるのは弥生時代までで,それ以前は文献に頼ることはできない。「動・植物遺体による年代決定」;花粉分析の結果や,動物遺体・植物遺体の分析結果にもとづく。絶滅種を含むかどうかが指標となる。
〔参考文献〕鈴木正男『過去をさぐる科学』ブルーバックス 1976,講談社
藤則雄『日本先史文化入門』1979,雄山閣