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●寝宿 ねやど

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 泊り宿遊び宿ともいう。若者組には若者宿,娘組には娘宿のあるのがふつうだが,集会場や仕事場としてのみ用いられるものは寝宿とは呼ばない。寝宿は文字通り宿泊所で,男女別のものと,同宿のものとあった。かつて関東から以西のおもに沿海部に分布し,東日本ではその存在は希薄であった。男子の場合,若者組へ加入と同時に寝宿へ参加するものと,若者組と寝宿とが相即していて,寝宿へ加入することが若者組への加入を意味した形態とがある。娘の場合,娘宿は多いが寝宿の例は少なかった。いずれにせよ,一つの寝宿に兄弟姉妹が同宿することは避けるものであった。寝宿の機能は婚姻媒介と漁業の二つに大別される。若者は寝宿から娘の家・娘宿・娘の寝宿へヨバイに訪れ,将来の伴侶を選んだのであり,そのさい宿親と呼ばれる宿の主人夫婦や宿の仲間たちが助言や支援を行ったのである。したがって結婚すれば寝宿から退いた。一方,寝宿から夜間の漁に出動したり,寝宿に宿泊して非常に備える例もあった。寝宿としては,一般に新婚夫婦のいる家屋の一部屋を利用するものが多いが,漁業に関係した寝宿は網元の家が用いられることもあり,また寝宿専用の家屋が常設されている地方もあった。青森や秋田の寝宿は夏期にのみ丸太で仮設された。神奈川県の丹沢地方などの場合は,逆に冬期に竪穴式住居をつくって寝泊りをする慣習が大正末期までつづけられた。

〔参考文献〕有賀喜左衛門「日本婚姻史」『有賀喜左衛門著作集』6,1968,未来社

瀬川清子『若者と娘をめぐる民俗』1972,未来社