●寝所 ねどこ
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庶民の家で今日のような畳が多く用いられるようになったのは古いことではない。そのうちでも,寝室では畳の前身といわれるものが,いちはやく用いられている。青森県・秋田県・新潟県などでは,ネジキといい稲わらのすぐったものを敷いていたという。長野県北安曇郡の伝承でも,わらを敷いた箱床(はこどこ)と称したものに寝たといわれている。こうした稲わらの使用から,敷物へと発展し,一方はむしろや畳へ,他方はふとんへと発展した。稲わらを入れたふとんのことをスベふとんといい,東北から中部山岳地帯にかけ近年まで用いるところがあった。富山県の五箇山地方では夫婦の寝室はチョンダといい少し敷居が高くなっているのは,わらくずがはみ出さないようにつくられたものである。関東各地では夫婦の寝室をヘヤとかナンドという。最も閉鎖的な室で,産室にも使われる。病人も重症になるとこの室に移され,すると近隣の人は死期が近いことを暗黙のうちに察知するのである。