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●奴変 ぬへん

アジア 中華人民共和国 AD 

 明末清初に華中・華南を中心としておこった,身分上の束縛からの解放を求める奴僕の諸反乱の総称。明代では皇室および功臣の家以外での奴婢の所有は禁じられていたが,現実には法的身分としての養子や雇傭人雇工人の多くが義男義婦・家人などと呼ばれる奴僕であった。これらの奴僕は,世襲・債務・売買などによって主人に隷属し,「主僕の分」といわれる慣行規制下で無制限・無制約な家内労働や生産労働に従事した。明末に大土地所有と寄生地主の風潮が激化すると,徭役負担の不均衡などから自ら身を売って奴僕となる投靠(とうこう)者や,土地とともに身を売って奴僕となる投献(とうけん)者も出現し,奴僕身分の著しい増加をみた。寄生地主化した主人の委託を受け,奴僕管理や生産管理を請け負う奴僕や,主人の個人的便宜をはかるため胥吏として地方官庁に送り込まれた奴僕が出現した。彼らは紀綱の僕といわれ,実務を遂行する過程で私財を蓄積し,無頼や胥吏との交流を深めて,経済的にも社会的にも自立可能な情況を形成した。その身分はいぜんとして子々孫々にいたるまで賤民階層から脱することはできなかった。たとえ期限を定めた契約によって奴僕となった者も,主人の策謀によって終身の奴僕となることは少なくなかったようである。そのため奴変の直接的な契機もさまざまであり,また,上層の奴僕が主人の権勢を借りて無法をはたらく場合や,旧主を害してさらに有力な主人の下に投靠しようとする場合もあったが,多くは上層の奴隷の領導による賤民身分からの解放闘争で,煽動あるいは脅迫された下層の奴婢を巻き込んだ大規模なものとなった。