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●日本之下層社会 にほんのかそうしゃかい

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 横山源之助の著書名。1899年(明治32)4月教文館刊行,本文345ページ,付録「日本の社会運動」53ページよりなる著述。この書は明治20年代に乾坤一布衣(松原岩五郎)が貧民窟の探訪記を書いているのに対し横山は,未開社会探検のごとき松原の気負いと異なり,下層社会に身をおくものとしてのヒューマンな心情に支えられた叙述である。いいかえると居住者としての叙述である。横山は1896年(明治29)春上毛の機業地を観察し,翌年夏から秋にかけて大阪の工場めぐりをして視野を広げ,労働運動の勃興にもあい,1897年(明治30)12月には鉄工組合の組織などをみて,本書の構想をもつに至った。本書は彼の保護者佐久間貞一なるパトロンのすすめもあってつくったものである。本書の成立は社会問題の関心をすすめ,社会運動を刺激している。そして『労働世界』などを発刊させる契機となった。その面で職人・工業社会の通弊を描いた力は大きい。