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●日本占領政策 にほんせんりょうせいさく

北アメリカ アメリカ合衆国 AD 

 太平洋戦争敗北による連合国の対日占領政策。占領政策の基本はポツダム宣言によって規定されていたが,日本の占領がアメリカによる事実上の単独占領として行われた結果,アメリカの対日方針が連合国の方針の名のもとに貫徹されることとなった。アメリカの方針は,国務省・陸軍省・海軍省が共同作成し,トルーマン大統領の承認を得て1945年(昭和20)9月22日に発表された「降伏後におけるアメリカの初期の対日方針」のなかに示されている。それによれば,占領の目的は,日本が〈ふたたびアメリカの脅威となり,また世界の平和および安全の脅威とならざること〉と,〈他国家の権利を尊重し,国際連合憲章の理想と原則に示されたアメリカの目的を支持すべき平和的かつ責任ある政府を究極において樹立すること〉の二つにあり,対日占領政策の主要な任務は,日本の〈武装解除ならびに非軍国主義化〉におかれ,非軍国主義化は非軍事化=軍国主義体制の解体と“民主化”=民主主義制度の確立という二つの側面をもっていた。日本占領政策の展開過程は,つぎの4期に区分される。

【第1期】1945年8月から1947年2月までの時期。この時期は,ソヴィエトと対立するアメリカの戦略的見地が,まだ対日政策の上に全面的に現れず,対日占領政策に関する大国一致の原則がまがりなりにも維持され,いわゆる戦後改革が実施された時期である。このとき世界政策の重点をヨーロッパにおいていたアメリカは,極東政策の中心を国民政府を代表とする中国の安定化におきつつ,日本に対しては上記の対日方針にしたがって戦後改革を推進した。それは,陸海軍と特別高等警察の解体,戦犯の逮捕,軍国主義者の公職追放,政教分離,軍国主義教育の廃止,軍需産業の禁止,財閥解体農地改革労働基本権の承認などによって軍国主義体制を解体し,また日本国憲法を中心とする民主主義制度を確立することであった。しかし,1947年のマッカーサー連合軍司令官による二・一スト中止命令を契機に,占領政策の転換が始まる。

【第2期】1947年2月から1949年3月の時期。この時期は,冷戦の全面化と中国革命の進展に件う占領政策の後退・転換の時期である。1949年3月のトルーマン=ドクトリンの発表とともにアメリカの「封じ込め」政策が展開され,米ソの冷戦が全面化し,また同年9月以降中国革命が進行した。それに対応して,アメリカは極東政策の中心をしだいに中国から日本に移行させるとともに,対日占領政策を,初期の非軍国主義化から「反共の防壁」「極東の工場」として日本を再建する方向へ転換させた。そのためこれまでの民主化政策が国家公務員法・警察法・改正民法・改正刑事訴訟法などの公布となって制度化されたが,他方アメリカの反ソ反共政策が占領制度を通じて開始され,天皇の戦争責任追及の放棄と A 級戦犯20名の裁判放棄,賠償の緩和,公務員の罷業権団体交渉権の剥奪(政令201号),労働運動への抑圧などが進められた。また1948年12月には,日本経済の復興計画として経済安定の原則が発表され,1949年2月には第3次吉田茂内閣が成立して長期保守安定政権が確立した。

【第3期】1949年3月から1950年6月の時期。この時期は,冷戦の激化を背景としてドッジ=ラインが推進された時期である。1949年の NATO の結成,東・西ドイツの対立,ソヴィエトの原爆所有声明,中華人民共和国の成立と1950年の中ソ友好同盟条約の締結に示されるような冷戦の激化のなかで,ドッジ=ラインが吉田茂内閣によって実施され,労働運動や日本社会党・日本共産党などの抵抗を排除しつつ行政整理と企業整理が強行され,独占資本を中心とする経済復興路線が推進された。

【第4期】1950年6月から1952年4月までの時期。この時期は,朝鮮戦争のもとで,占領政策が反動化し,やがて対日講和条約が締結された時期である。1950年6月の朝鮮戦争の勃発によって冷戦はついに「熱戦」に転化し,日本は兵站基地としての機能をもつことが要請された。日本共産党中央委員24名の追放,レッド=パージ,占領目的阻害行為処罰令(政令325号)公布,警察予備隊の創設による再軍備開始,軍国主義者の追放解除などが占領軍総司令部(GHQ)の命令・指導のもとに実施された。朝鮮戦争には,ドッジ=ライン実施下で不況にあえぐ日本経済をいわゆる「特需」によって立ち直らせるとともに,対日講和条約の早期締結の気運を高めることとなった。1951年9月にサンフランシスコ講和条約日米安全保障条約が調印され,1952年4月28日の両条約発効によって占領政策は基本的に消滅した。

〔参考文献〕信夫清三郎『戦後日本政治史』全4巻,1965〜67,勁草書房

東京歴史科学研究会現代史部会『日本現代史の出発』1978,青木書店

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