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●日本高僧伝要文抄 にほんこうそうでんようもんしょう

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 日本における僧伝の編さんは奈良時代においては思託の『唐大和尚東征伝』とか,『延暦僧録』ならびにそれに付随して,仏教史的立場を取った『扶桑略記』などがまえにみられるのであるが,それらは各個の僧伝として独立したものであり,『扶桑略記』のごときは,仏教の流れのなかに高僧の著名な事蹟,あるいは没年が断続的に述べられているにすぎないものであって,決定的な立場においての総合的な日本の高僧伝としてまとめられたものではない。このような意味において,現在東大寺図書館に蔵する東大寺宗性の『日本高僧伝要文抄』が『元亨釈書』に先んじて編集された日本の僧伝で,本書はまた『国史大系』にも収録されている。いま宗性の編集した『日本高僧伝要文抄』の原本の体裁について述べると,本書は冊子本3冊に収録され,各冊に宗性自筆1249年(建長1)の奥書が存在する。その内容については,『元亨釈書』に先んじて編さんされた日本最初の僧伝で,『弘法大師伝』『浄蔵伝』『慈覚大師伝』『音石山大僧都(明詮)伝』など重要なものが含まれ凝然の『三国仏教伝通縁起』などにも間接的影響を与えている。

〔参考文献〕平岡玄海『日本弥勒浄土思想展開史の研究』大茂出版