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●日本永代蔵 にっぽんえいたいぐら

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 浮世草子。井原西鶴作。1688年(貞享5)刊。6巻6冊より成る。町人の経済生活に焦点を当てる,いわゆる町人物の第一作。商業資本主義の成立期から確立期を生きた町人たちの致富への意欲を中心に,成功や失敗の諸相を描き上げる全30章の短篇小説集である。副題「大福新長者教」が示すように,近世初頭に成立した「長者教」の流れを継いだ致富への教訓という一面を表に出してはいるが,その意図は教訓そのものの提示よりむしろ“銀が銀をためる世の中”という現実認識を基調として,金銭と格闘して生きる町人たちの姿を多面的にとらえようとするところにあると見ることができる。また,全国各地に舞台をとってその土地柄や風俗をとらえ,随筆風の筆致で軽妙に経済状況やその中を生きる人のありようを描くといった側面をももっている。文学の世界でこれまでまともに取り上げられることのなかった分野を取り上げて優れた達成を示す,近世文学史上注目すべき作品である。