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●偐紫田舎源氏 にせむらさきいなかげんじ

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 江戸後期の合巻で,柳亭種彦作,歌川国貞画,江戸鶴屋喜右衛門刊。1829年(文政12)から,作者没の1842年(天保13)まで発行された。38編172冊の長編である。『源氏物語』の室町時代版を企図した翻案小説で,桐壺の巻から真木柱の巻まで順を追う。将軍足利義正(原作の桐壺帝)の息光氏(光源氏)は,お家乗っ取りを画策する奸臣山名宗全一派と闘うため身をやつして女性遍歴を重ねる。富徽前(とよしのまえ,弘徽殿)と花桐(桐壺)の確執がからみ歌舞伎調に展開,挿し絵もまた劇的な絵巻風の構成である。11代将軍家斉の私生活・大奥生活に触れたとする風聞が立ち,それゆえか38編で絶版を命じられた。作中で義正夫人は西国大名の姫とあるように,家斉夫人は島津氏娘茂姫だった。劇・清元から菓子にも源氏ブームを巻きおこした。

〔参考文献〕『評釈江戸文学叢書・洒落本草双紙集』1935,1970,講談社