50音順    検 索

●南総里見八犬伝 なんそうさとみはっけんでん

アジア 日本 AD 

 9輯106冊。読本。曲亭滝沢馬琴作。1814〜42年(文化11〜天保13)刊。挿画は柳川重信渓斎英泉他。室町時代の安房国里見家の興亡を背景に,里見家の伏姫が自害した折飛び散った,仁義礼智信忠孝悌の文字を記す八つの玉をもつ八犬士たちを登場させ,関東8カ国を中心に活躍させる雄大な長編読本。犬の字を名字にもつ犬士たちが,さまざまな場面で離合集散を繰り返しながら,ついには力を合わせて里見家の発展のために尽力する,といった大筋のなかで,数多くの奇談・冒険談や幻想的な話などを次々に導入しつつも,ち密な構成によって長編としての統一を保持している。勧善懲悪・因果応報の考えを基調とする作品の展開は,明治以後の西欧的小説観からときに批判されることもあったが,その雄大な構想とち密な作品展開,華麗な文体によってつくり出される虚構の世界は,近世以前の伝奇小説の一つの到達点を示している,と評せる作品である。