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●南曲 なんきょく

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 中国の南方系の歌曲を主体とする演劇を,北方系の北曲元曲・元雑劇とも呼ぶ)に対して南曲と呼ぶ。また,南戯,戯文とも呼ぶ。この起源は宋代で,温州(浙江省)が発祥の地といわれる。南曲は元代には北曲に圧倒されていたが,元が南宋を平定したのち,南下した北曲の作家から南曲を書く人が出たり,北曲が素朴さや真実味を欠くようになり,南曲が代わって盛んになる。中国の古典劇は唱(うた)中心の一種の歌劇という性格をもっているが,北曲のように一つの戯曲を4幕とする必要もなく,歌う者は主役・脇役の区別なく歌うことができた。その多くが30齣(せき,幕とか場の意)から50齣という長編で筋も複雑で,伝奇とも呼ばれた。元末明初に高則誠が『琵琶記』を書き,『荊釵記』『白兎記』『幽閨記』『殺狗記』の四大伝奇が出て急速に発展する。この高則誠は科挙に合格した読書人で,明の太祖は『琵琶記』を封建道徳を高唱したものとして推奨した。作者に儒教の教養をもつ読書人が多く貴族も力をいれたので,文辞に美辞麗句が用いられ,題材は歴史物や才子佳人の恋物語を主としたので,書斎で鑑賞される文学作品となり民衆の理解を妨げた。明代の中ごろ,江蘇省崑山の音楽家魏良輔が楽器や歌い方に改良を加え,甘美な味わいをもつ腔調(ふし)をつくりだした。これを崑曲といい,清代に『長生殿』『桃花扇』の佳作を得て中国演劇の主流となる。清代末期,歌詞が難解でしぐさや表情が型にはまりすぎたため,現代中国の古典劇の京劇にその座をゆずることになった。