●苗代 なわしろ
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稲苗をつくる水田のこと。オヤダ,ナエダ,ナエマともいい,毎年同じ田を苗代とするのが普通である。稲作では「苗作半作」などといい,稲苗の出来具合いは後あとまで影響するので,苗代田にはいろいろな条件が付されている。陽当たりと水利の便が良い乾田で,家に近い所が選ばれる。このような条件が揃った水田は少ないため,おのずから各家の苗代田は特定の場所に集中し,しかも例年使われることになる。分家は本家の苗代田の一角を借りて稲苗をつくったり,本家から稲苗を貰うことがあるが,これは条件の良い苗代田は限られているというのが一つの理由である。苗代田では,通し苗代といって例年稲苗をつくるだけで田植えをしないという慣行が東北地方を中心にあったが,これは苗代へは糯稲をつくるということなどとともに,苗代田を特別な田と考えていた表われである。苗代への播種は,田一面に稲種子をばらまくのが古くからの方法だが,明治中期からはしだいに短冊型に床をつくって播く短冊苗代となり,昭和30年代以降は,保温折衷苗代や温床陸苗代などが普及され,さらに動力田植機が出現してからは,稲苗づくりが一変し,苗代田が必要なくなった。なお,水田苗代であったときには,苗代づくりが終わるとシメモチ,苗代粥,畝割粥などといって特別な食物をつくって行う儀礼もあった。