●名寄帳 なよせちょう
アジア 日本 AD
近世の地方文書のなかで,近世農民の生産手段である土地の容態を知るのに有効な帳簿である。検地帳が土地を一筆ごとに記載したのに対し,名寄帳は田畑・屋敷の反別の筆数を各所持者ごとに集計している。租税納入および村入用など貢租公課の基本台帳であるから,村役人が検地帳から抄録し,一村総反別のうち農民一人前ごとの持ち高を記載し作成したため,土地の移動があればつくりかえられた。名寄帳は村の農民構成を知るうえで重宝このうえない。各時代の名寄帳の比較研究により時代的な推移もうかがえる。名寄帳は近世以前にもあり,荘園の田畑を実見して分量を記し,そこから出される公事年貢などを註記した文書がしばしば検注帳・名寄帳・丸帳などで表された。この場合の名寄帳は名(みょう)別・耕作者別に記載される。なお,近世初期の古い名寄帳では特定の農民に限定して書かれた慶長のころのものも残存し,農民の階層の実態に迫る史料となっている。