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●ナムク=ケマル

アジア アジア AD1840 

 1840〜88 オスマン=トルコ帝国末期の改革啓蒙主義者で,若くして西欧に遊学し,フランス革命に大影響を与えた,ロック,ルソー,モンテスキューらの著書を翻訳し秘密出版して,立憲議会制の必要性を説いた。そのため,トルコ皇帝政府から危険人物とされ,たびたび亡命生活を送った。しかし,彼の思想の限界は,のちにトルコ共和国を建国したケマル=パシャアタチュルク)のように,政教分離を革新思想の根本とせず,逆にイスラーム教初期(ムハンマドの時代)への精神的復帰こそが,トルコ帝国再起の道であると説いた点であった。すなわち,近代西欧社会を体験しながらも,信教の自由による国民国家の成立が西欧的近代国家の大原則であることを自覚できなかったところに,彼を含めオスマン=トルコの近代知識人たちの致命的欠陥があったといわねばならない。

〔参考文献〕大島直政『ケマル・パシャ伝』1984,新潮社