●ナスレッディン=ホジャ
アジア トルコ共和国 AD
トルコの民話の主人公で,その長短さまざまな物語の数は1,000を超す。奇行,頓知,ユーモア物語が大半で,かつ宗教家であった点において,“トルコの一休和尚”といっていい。その人気は今なおトルコで続いており,伝説上の人物ながら,その墓まで現存し,15世紀ころの実在人物だと,トルコ人の大半は思っている。ホジャ物語の例,〈ある日,ある村でホジャが説教していると,その村で一番不信心な男が質問した。「先生,神(アッラー)が存在なさることを証明なさって下され。私には信しられないので」。ホジャは次のように答えた。「わしは生まれてから,もう70年になるが,今までに一度も自分の思いどおりに物事がなったことはない。これが神様のいらっしゃる何よりの証明じやよ」,「そりや,どういうことで?」,「つまり,いつも神(アッラー)様の思い通りにしかならなかったというわけじゃ」〉(大島直政『遠くて近い国トルコ』1968,中公新書より)。