●ナスル朝 ナスルちょう
ヨーロッパ スペイン AD1231
1231〜1492 キリスト教勢による失地回復の運動や,レコンキスタの波にさからって,南スペインに最後まで存続した王朝。マディーナ出身のアラブ,ムハンマド・イブン・ユースフ・イブン・ナスルは,1231年ごろハエンの周辺に小国を建て,1235年にはグラナダを奪って首都とした。彼は地方のムスリムの反抗に対してはキリスト教勢の助力を求め,キリスト教勢の攻撃に対しては北アフリカに援軍を求めるといった柔軟な外交姿勢によって身を守った。この種の外交的態度と,要害堅固な首都グラナダの地勢が,この王朝を2世紀半にわたって存続させた理由である。
集約農業,都市の工芸,交易によって繁栄したこの王朝の最盛期は,14世紀後半で,この時期にアルハンブラ宮殿の主要部分が造営されている。しかしカスティリャの女王イザベルとアラゴン王フェルナンド二世は,協力して内紛にあえぐこの王朝を攻略し,1491年にグラナダに総攻撃をかけ,翌年ナスル朝の最後の支配者アブー・アブドッラーは降伏してスペインを去った。これによってムスリムによるスペインの統治は完全に終幕を迎えるのである。