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●ドロステ=ヒュルスホフ

ヨーロッパ ドイツ連邦共和国 AD1789 ハプスブルク朝

 1789〜1843 ドイツの女流詩人。ビーダーマイアーを代表する一人。ヴェストファーレン州ミュンスターのヒュルスホフ城に男爵の娘として生まれる。家庭で語学・音楽の教育を受けるが,病弱で生涯独身であった。外面の牧歌的な生活に比し,内面の激しい詩魂は,型にとらわれない独自のリズムを生んでいる。また故郷ヴェストファーレンの自然と風土を鋭敏な直観と体験でとらえた郷土作家であり,荒野や湿地を歌った多くの詩,風土記ふうの散文がある。1842年姉一家の住む南ドイツのメールスブルク城に滞在し,抒情詩を書くが,自然の情景や内面の揺れをとらえ,自然の細部まで細密に詠みこむ。しかし女流のサロン文学とは異なり,内面的な孤独な魂の痛みを示し,力強い筆致で綴られている。1844年に『詩集』が出版され好評を得ている。自伝的小説『レドヴィーナ』(1820)は未完に終わるが,完成した唯一の散文『ユダヤ人のブナの木』(1842)はロマン派の影響下にある当時に刻明な心理描写で人間の運命を写実的にとらえた比類ないものであり,シュティフターらの写実主義の先駆をなしている。宗教的な心眼による連作詩『教会暦』(1851)は深いカトリック信仰と不安な懐疑を示すものであり,その他多くの譚詩・叙事詩・戯曲などがある。