●トレルチ
ヨーロッパ ドイツ連邦共和国 AD1865 ドイツ連邦
1865〜1923 ドイツの宗教史家・文化史家・宗教哲学者・歴史哲学者。アウグスブルクで生まれ,ボン,ハイデルベルク大学の神学教授(1892〜94)・ベルリン大学の哲学教授(1915)・プロイセン政府文部次官補(1919)を歴任。初め自由主義的プロテスタント神学者としてリッチュルの影響で宗教史の研究をした。『キリスト教の絶対性と宗教史』(1902)では諸宗教のなかで,キリスト教がいちばん偉大な宗教の理念を規範化しているという。その後 M.ウェーバーやディルタイの影響を受けて宗教社会学・文化哲学・歴史哲学に向かった。彼は文化を歴史的形成物とみるが,当時のヨーロッパ文化が相対主義的に陥ってキリスト教の絶対的価値を否定するのには反対した。歴史のなかで歴史を超えるものを求めて『歴史主義とその克服』(1924)を書いた。歴史性と絶対的なものを求める矛盾する2面の葛藤は主著『歴史主義とその諸問題』(1922)によく表れている。啓蒙思想・ドイツ観念論・ロマン主義・自然主義・実証主義などを次々に批判しながら個と普遍の統一,彼のいう「文化総合」を求めてヨーロッパ主義にたどりついた。しかしそれで歴史主義は克服できたか。彼の理論は未完結に終わったが,この本の真摯な思索は名著の名に値する。