●トリックスター
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民話や神話のなかに登場するいたずら者のこと。物語のなかのトリックスターは,人間であったり動物であったりするが,いつでも既成の秩序に反発し,権威をからかい,奇想天外な策略で人をだましたりする。しかしトリックスターはまったくの悪者ではなく,むしろその破天荒で茶目っ気にみちた行動によって笑いを誘う道化的キャラクターでもある。このように秩序や権威に対して気ままに振舞うトリックスターは,人類学者や神話学者・精神分析学者などの関心を惹いてきた。K.ケレニイはそこに無秩序も含めた全体的生のカオス的側面をみ,また C.G.ユングは固定化した日常的意識の底にひそむ未分化の創造的な意識状態の表現をみる。山口昌男はそれらのさまざまな見解の延長線上で,トリックスターに日常的世界観の相対化の可能性をみる,トリックスター的認識論を展開している。〔参考文献〕P.ラディン・K.ケレニイ・C.G.ユング,皆河宗一他訳『トリックスター』1974,晶文社
山口昌男『アフリカの神話的世界』1971,岩波新書