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●富山売薬 とやまばいやく

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 江戸時代に広く行われ,富山地方の有力な伝統産業。「越中富山の反魂丹」は広く人口に膾炙した。富山の行商人たちは,腹ぐすり・風邪薬・膏薬などを商うため,肩に薬を入れた風呂敷包みを背負って,主に農閑期に日本各地の町や村をまわった。各家庭に常備薬を配し,翌年また回りきたって使用した分の薬代の会計をすませ,不足分を補ってゆく。かくて親子孫の代までが同じ得意先に行商にゆくわけであり,信頼関係にもとづいたあたたかい人々の交流があった。富山行商人たちは,おまけ商法として紙風船や刷り物画(おまけ紙)などをサービスし,各地の世情や情報を広める文化情報の伝達者でもあった。この商法は2代藩主前田正甫が松井屋源右エ門に各地に反魂丹を売らしめた藩主による殖産興業政策の一つとして始められ,規模を大きくして発展したものである。近代以降も盛んであったが昭和40年代からは市販薬品の商品性・広告性の好調により都市部では見られにくくなっている。

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