●ドーミエ
ヨーロッパ フランス共和国 AD1808 第一帝政
1808〜79 マルセイユに生まれ,5歳のとき硝子工で詩人の父とパリ移住。15歳で公証人役場の給仕となり余暇に絵を学ぶ。21歳のとき石版漫画でデビュー,そのころ創刊された政治諷刺新聞「カリカチュール」のスタッフとなる。24歳から戯画誌「シャリヴァリ」に寄稿し,政府・右翼政治家・法廷などの権力者の欠点・腐敗を激しく攻撃,フィリップ王を諷刺したかどでたちまち起訴され,6カ月の懲役と罰金刑に処せられた。27歳ごろから言論弾圧が激しくなると,彼は風俗漫画に転じ,多くの石版シリーズを制作,劇的な緊張・鋭い観察・リアリティの執拗な追求・的確な技術によって,バルザックの『人間喜劇』に劣らない非凡な歴史的証言を築いた。油絵は遅く40歳ごろから始め,「三等車内」「洗濯女」「劇場」「見世物」など,意表をつく構図で表現した。晩年の彼が執拗に繰り返す「ドン=キホーテ」の連作は,哀愁こめた彼の自画像の傑作である。