●土人 どじん
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元来は土着の人,土地の人といった意味で,その土地に生まれ住みついている人をさした。江戸時代中・後期の文献では,広く国内各地の住民を呼ぶ一方,アイヌや外国人に対しても用いられていた。ところが,幕末になると松前藩政下の蝦夷地に居住のアイヌをさす用語として,限定的に使われだす。それまでアイヌをさしていた“夷人”あるいは“蝦夷人”から“土人”への呼びかえは,蝦夷地を日本の領土として対外的に示す政治的意図の表れであった。その後,近代の明治政府の北海道開拓は,内地からの移住民の経済活動を積極的に推し進めていく反面,アイヌ民族の生活権を官民一体となって剥奪していくこととなり,こうしたなかで“土人”の概念は未開民・劣等民として侮蔑を含んだことばに変質していった。この傾向はのちの侵略政策にも反映し,台湾や南洋群島の植民地化の過程で原住民にも適用されることになる。近代以降,土人の概念は日本の侵略行為を合理化する意味から,その行為の対象となった異民族・異国人をさし,しかも,日本人のなかに深く民族差別・人種差別意識を植えつけることになった。