●都市社会学 とししゃかいがく
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「都市社会学」とは,人間の生活環境としての都市社会,およびそこで生起する諸社会現象を研究する,「社会学」の一分野である。本来,都市とは,人間の集まり住む地域の一種として,村落と対比される。したがって「都市社会学」は,地域社会を対象とする「社会学」つまり「地域社会学」を,「村落社会学」とともに構成すると考えられてきた。ところが,近年のように社会全体の都市化が進み,都市と村落の区別があいまいになるにつれて,都市社会学の対象も急速に多様化している。【都市社会学の歴史】都市社会を対象とする研究は古くから数多い。ただ,とくに経験的な実証研究を重視する都市社会学の場合,その先駆的業績は,産業革命以降の急激な社会変動下にある都市の実態研究に求められる。エンゲルスの『イギリスにおける労働者階級の状態』(1845)・ブースの『ロンドン市民の生活と労働』(1891〜1903)などがその例である。このほか,マックス=ウェーバーによる都市の歴史社会学的研究も,忘れられない業績である。しかし「都市社会学」が,社会学の一分野として学問的にも制度的にも確立したのは,20世紀初頭,アメリカのシカゴ大学においてであった。産業化と移民流入で急速に発展したシカゴを対象とする多くの研究は,その後の都市社会学の展開に大きな影響を与えた。このシカゴ学派都市社会学の代表的な研究者は,パークやバージェスらである。都市社会学はその後もとくにアメリカを中心に発展してきたが,現在では各国で研究されている。日本でも,すでに戦前から戦後にかけて,都市社会の実証的研究が行われてきた。その中心が,奥井復太郎・鈴木栄太郎・磯村英一らである。とくに高度成長に伴う都市化のなかで,日本の都市社会学の研究は非常に多様化している。町内会などの地域組織,郊外社会や団地,住民運動やコミュニティ,権力構造,都市問題や都市政策など,その内容は多岐にわたる。
【都市社会学の対象】都市社会学の現在の研究は,その対象の設定の仕方により,大きく二つに分けられる。第1は,空間的範域としての都市を前提に,そこで生起する諸社会現象を対象とする研究である。これはさらに次のように分類できる。[1]生態学的アプローチ 都市社会内部の空間的・時間的な秩序と変動の過程を対象とし,シカゴ学派以来の伝統をもつ。[2]社会構造論的アプローチ 都市における社会関係・組織・制度などを対象とする研究で,社会学理論の発展と強い関連がある。都市の諸社会集団や階級・階層,社会移動,社会的ネットワーク,権力構造など,多くの分野が含まれる。[3]機能領域別アプローチ
都市社会における経済・政治・文化・宗教・交通など,個別の活動領域に焦点をしぼって,その社会学的分析を行う研究である。このため「経済学」や「政治学」などの隣接学問領域とも関係が深い。第2は,諸社会現象のなかに何らかの都市的性格を見つけだし,それを対象とする研究である。都市的なパーソナリティやライフスタイル・社会関係など,対象は必ずしも空間としての都市とは関係がない。このほか,社会変動論の一部としての都市化論も,都市性の解明に強い関心をもっている。ともあれ,どのように対象を設定するにせよ,都市社会学が,つねに同時代の都市社会の姿を映す鏡であったことには変わりがない。そしてこのことは,現代の都市社会学にもあてはまる。全体社会と都市の関係,先進資本主義国大都市のインナーシティ問題,第三世界の大都市問題など,都市社会学が取り組みつつある新しい課題は数多い。
〔参考文献〕倉沢進編『都市社会学社会学講座5』 1973,東京大学出版会
奥田道大『都市コミュニティの理論』1983,東京大学出版会
鈴木広・倉沢進編著『都市社会学』1984,アカデミア出版会