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●独占禁止法 どくせんきんしほう

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健全な競争経済を運営するために独占的行動を排除することを規定した法律。

【経済と独占禁止法】資本主義経済では、基本的に、自由な経済主体が市場機構を通じて経済的取引を行い、その結果として望ましい成果がもたらされるものとされるが、市場に独占的要素が加わると、市場は有効に機能せず、不当な収奪や大量失業など望ましくない成果をもたらすこととなる。独占禁止法は、そのような市場の機能を損わせる独占的要素を取り除くために、企業の行動を規制するものである。「経済学」の教えるところでは、“完全競争”(取引主体の数が無数に近く、個別企業が価格に対してなんら支配力を有しない状態)のもとでは、最適な資源配分が達成されるものとされる。しかし、独占禁止法は、この理論上の完全競争の維持を目的とするものではなく、あくまで、市場機構の有効な機能の回復をめざすというものであり、いわゆる、“有効競争”(市場集中度が低く、市場への参入障壁がないなどの条件を有した状態)を維持することを目的としている。

【独占禁止法の歴史】独占禁止法を最初に制定した国はアメリカで、1890年に、シャーマン反トラスト法によって、取引制限と独占行為を禁止している。さらに、それを補強するものとして、1914年に、クレイトン法・連邦取引委員会法を制定し、価格差別・不公平な競争方法の禁止や、資産・株式の取得などに関する制限を規定した。わが国では独占禁止法は、正確には、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」のことであり、1947年(昭和23)4月に、アメリカの反トラスト法を基本として制定された。第二次世界大戦後の農地改革・労働運動の解放・財閥解体という経済民主化政策のあとを受けて制定され、経済法の基本法としての性格を有し、当初“経済憲法”とも称された。

【独占禁止法の内容】第1条には、つぎのように、この法律の立法目的が規定されている。〈公正且つ自由な競争を促進し、事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んにし、雇用及び国民所得の水準を高め、以て、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進する事を目的とする〉。また、この立法目的を遂行するための規制内容として、同条に、〈私的独占、不当な取引制限及び不公正な取引方法を禁止し、事業支配力の過度の集中を防止して、結合・協定等の方法による生産・販売・価格・技術等の不当な制限その他一切の事業活動の不当な拘束を排除すること〉と定められている。

 ここでの私的独占とは、ある企業が他企業の活動を排除または支配することにより、公共の利益に反して、競争を実質的に制限することをいう。不当な取引制限とは、企業が他の企業と共同して対価の決定・維持・引き上げを行うことや、数量・技術・設備などに関して、相互に拘束することなどにより競争を実質的に制限することをいう。また、不公正な取引方法とは、不当に他の企業を差別的に取り扱う行為、不当な対価をもって取引する行為、不当に競争企業の客を自らの取引に誘因・強制する行為、相手方の活動を不当に拘束する条件をもって取引する行為などをさす。この私的独占の禁止は、市場の集中化を規制するものであり、独占禁止法のなかには、同じ趣旨のものとして、独占的状態(参入障壁、価格の著しい上昇などの弊害が生じている状態)の規制・企業結合(株式保有・役員兼任・合併・営業譲渡などによる結合)の規制などが定められている。不当な取引制限の禁止は、いわゆる、カルテルを規制するという性格のものであり、事業者団体による競争制限・事業者数制限などの禁止や、事業者または事業者団体が国際的に不当な取引制限を内容とする協定・契約を結ぶこと(国際カルテル)の禁止と同一の趣旨によるものである。

公正取引委員会】これらの規制内容を実現するために、中心的役割を果たしているのが公正取引委員会である。公正取引委員会は、委員長と委員4名の合議制にもとづく行政機関で、独占禁止法に違反する行為の事実認定、違反行為の排除や、カルテルに対する課徴金納入の命令などの措置をとる行政的手段を担っている。

〔参考文献〕今村成和『経済法・独占禁止法』1967、有斐閣

根岸哲・舟田正之・野木村邦彦・来生新『独占禁止法入門』1975、日本経済新聞社


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