50音順    検 索

●トゥールーン朝 トゥールーンちょう

AD 

 アッバース朝によりエジプトに派遣されたトルコ系軍人,アフマド=イブン=トゥールーンが創始した王朝(868〜905)。彼はエジプト太守に任命された後,数万に及ぶマムルークを購入し,直属の正規軍を編成して地歩を保ち,名目上はアッバース朝に従いながら,事実上の独立を獲得した。877年にはシリアも併合し,以後数世紀シリアはエジプトの支配下に入る。エジプトの独立は,それまで富の大部分をアッバース朝に貢納してきたエジプトの経済的地位を飛躍的に増大させた。アフマドは外政と同時に内政にも力を注ぎ,灌漑設備の充実・病院建設などを積極的に行ったため,エジプトは大いに繁栄した。ただし884年に他界した彼のあとを継いだ息子,ファーラワイフはたいへんな浪費家で民心が離反し,同時にカルマット派の騒乱も災いして,すぐにアッバース朝に再併合されてしまった。この王朝は,衰退していくアッバース朝の領州を,野心家たちが切り取り,独立小王朝をつくる好例である。以後も主としてトルコ系の軍人によるエジプトの独立というパターンがつづくが,少数の軍人集団により維持される王朝は,広範な民衆の支持基盤をもたず,指導者の人気の衰退が王朝の終焉につながった。