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●トウモロコシ農耕 トウモロコシのうこう

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メキシコ高原南部と中部アンデスにおいて起源したトウモロコシを主要作物とする雑穀栽培型の農耕。トウモロコシのほかに、インゲンマメ・ラッカセイをはじめとする幾種類かの豆類およびカボチャの類、ワタ・トウガラシ・タバコなどの作物が加わって独特の作物複合体が形成された。サウァーは、これをトウモロコシ・菜豆・カボチャ複合と名づけ、組み合わせの優秀さを指摘している。この3作物が同一の畑に植えつけられると、トウモロコシの草丈は高く伸びて、日光と湿気を要求し、菜豆は、日光を得るためにトウモロコシの茎にからみついて生長し、豆の根は窒素固定のバクテリア根瘤菌(こんりゅうきん)をつけて肥料となる。カボチャは、地表をはいながら生長し、土地をおおいつくす。非常に効率のよい栽培法なのである。収穫されたトウモロコシは炭水化物、マメは植物性たんぱく質、カボチャは炭水化物のほか、果肉に含まれるカロチンによるビタミンAと、種子のたんぱく質や油脂の供給源となり、バランスのとれた食生活を可能としたのである。主要なカロリー源であるトウモロコシの起源については、メキシコと中央アンデスの両地域であるとされている。前5000年ごろの明らかに野性種とみなされるものから、前2000年ごろの現代型で完全な栽培型のものまでの進化過程をしめす考古学的資料が残されている。野性種は、長さ2〜3cmの2列の小さな種にすぎなかった。これらの地域では、こんにちでもトウモロコシを水に浸して、すりつぶす調理方法がふつうであるが、前4000年ごろすでにこれに使用された石皿状のうす・すり石などの存在が知られている。トウモロコシの粒の性質から、熱を加えるとはじける爆粒種、ふかして食用とするやわらかいでんぶんの軟粒種、粉にする硬粒種、その両方からなり主として飼料用である馬歯種、糖分の多い甘粒種、もち性のものなど多様な品種がある。トウモロコシを石灰入りの水に一晩潰けて、石臼と石棒ですりつぶしたものを、メキシコではマサと呼ぶ。これをほうろ状の土製あるいは鉄製の鍋で軽く焼いたものがトルテイヤであり、メソアメリカ地域では、スペイン人との接触よりはるか以前から現在まで、最も重要な食べ物としての地位を保ちつづけてきた。焼きあがったトルティヤはそのまま食べるほか、塩やトウガラシソースで味つけしたり、肉や野菜を巻いて食べたりする。またマサはトウモロコシの皮で包んで蒸して食されることもあるし、水溶きして加熱した粉がゆとしても用いられる。カボチャには、メソアメリカ起源のもの(ニホンカボチャ・ポンキンカボチャなど)と、アンデス高原起源(洋種カボチャ)がある。カボチャの利用は、多角的かつ継続的である。雄花・青い実は青野菜として利用され、果実は保存が可能なゆえ長期間にわたって炭水化物食料として利用される。種子は焙ってそのまま食べるか、粉にしてひきわりに混合したり、ソースにまぜて使用される。また果実の硬い皮は、中味をくりぬいて貯蔵器にもなった。カボチャの栽培化の目的は、たんぱく質・油脂源としての種子の採取にあったとされている。菜豆には、メソアメリカ起源のインゲンマメ、ペルー起源の大型のリママメなどがある。七面鳥・犬・アヒルのほかには家畜をもたないこの地域では、マメ類は重要なたんぱく質供給源であったから、あらゆる気候・土壌に適し、たんぱく質・油脂含有量の高い多様な品種がつくり出された。メソアメリカの文明は、この農耕文化に支えられて発展した。起源は前4000年以前にさかのぼると推定される。早い時期に、灌漑や階段耕作技術が生みだされ大規模な儀礼センターを持つ都市が発達したが、大型役畜獣の家畜化・鉄器の欠如により、農業生産力の発展に限界を示さざるをえず、ヨーロッパ人との接触時点で、文明は崩壊した。

〔参考文献〕カール=サウアー、竹内常行・斎藤晃吉訳『農耕の起源』1981、古今書院