●東密 とうみつ
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空海(弘法大師)の伝えた真言宗密教のことで,東寺(とうじ)の密教という意味である。一方,天台宗の密教はこれと区別して台密と言う。唐から密教を伝え帰った空海は823年(弘仁14)嵯峨天皇から京都に東寺を与えられた。彼はそこと高野山を真言密教修行のための根本道場と定めたのであった。空海のもとには優秀な人材が集まり,そのなかから10人の高弟に胎蔵・金剛両部の秘法を授けたが,残ったのは真雅と実慧の法系だけである。両系統は対立していたが,真雅の門に源仁が出,実慧の門流宗叡からも秘伝を受け統一を行った。しかし,源仁は弟子の益信(やくしん)・聖宝(しょうぼう)にそれぞれ一つずつの法しか教えなかった。すなわち,益信には実慧の法を,聖宝には直雅の法であった。こうして二つの法躯が生まれ,前者からは広沢流が寛朝により,後者からは小野流が仁海によって確立され,それぞれからさらに六つの流派が生まれていった。そしてその後の小さな分派,すなわち,広沢流は根本6流のほかに4流,小野流は根本6流のほかに20流,を含めて“野沢(やたく)根本12流”とか“東密36流”と称する。真言宗は『大日経』『金剛頂経』『蘇悉地経』などの経典と“菩提心論”に依拠しつつ,空海の書いた諸々のものを主にして,教理・実修が行われる。それはあらゆるものが,地・水・火・風・空・識の“六大”からなり,それらがすべてにあまねく満ちている姿が真の姿であり,そこでは仏も衆生も同じであるという世界観にもとづいている。そして大日如来を智のはたらきでとらえた金剛界と,理のはたらきでとらえた胎蔵界の統一したものと考える仏陀感にその特色がある。こうした考えにもとづいて実修が行われるわけで,その方法は真言を唱え,手で印を結び,仏の三昧に心を同じくさせて仏と感応しようとするのである。真言密教では灌頂(かんぢょう)・加行(けぎょう)・護摩・祈祷などさまざまな決まりがある。